住まい・不動産

【老後の住まい】ダウンサイジングの落とし穴 「旧宅が売れずに税金と維持費の二重払い」「築42年以上の中古物件は要注意」

老後の「住まいのダウンサイジング」をどう進めるか(イメージ)

老後の「住まいのダウンサイジング」をどう進めるか(イメージ)

 老後のライフプランとして、子供が成長して独立した後、住まいを「ダウンサイジング」することを勧められるケースは多い。特に、郊外の広い一戸建てを売却して、駅に近いコンパクトなマンションへと住み替えることを考えている人は少なくないだろう。だが、マンショントレンド評論家の日下部理絵氏は、「買い替えを巡る様々な“罠”に注意が必要です」と語る。

 新しくマンションを購入するには、自宅を売って得る資金と退職金の一部を充てるのが一般的だが、「退職金や売却代金が思ったより少ないと、生活資金からの持ち出しを強いられる。特に売るタイミングと買うタイミングがズレると悲惨なことになる」(日下部氏)という。

 自宅を“夢のマイホーム”と感じてきた年代ほど、「売れない」という想定ができず、トラブルに陥りがちだという。

「駅からの遠さがかつてよりシビアに評価されて買い手が見つからず、資金不足で新居の購入契約が流れてしまうこともあります。また、ローンは組めたものの、新居のローンが始まっても旧宅の戸建てが売れず、固定資産税や維持費の二重払いに苦しむことも」(同前)

 他方、自宅が首尾よく売れた場合にも注意点が。

「売れたら標準的には1か月程度で明け渡すことになる。それまでに新居購入が決まらないと、仮住まいの部屋を別に探すことになり、余分な負担が生じます。また、好条件の中古物件は数日で買い手が決まるほど出物が少ない。慌てて買って後悔する事態が起きがちです」(同前)

 新居探しでは「駅に近い」「きれいなのに割安」と魅力的に映ることが多いのがリノベーションされた中古物件だが、落とし穴がある。まずは、「築42年以上の物件」だ。

 建築基準法は1981年6月1日に改正されている。改正前の建物は「旧耐震」となり、改正後の「新耐震」と区別される。耐震診断の結果、補強が必要になることが多い。

「多くの管理組合が修繕積立金で想定しているのは防水やタイルの補修工事などで、耐震補強は計画に含まれていないことがほとんどです」(同前)

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