米国の9月のFOMC(連邦公開市場委員会)が終了、政策金利の据え置きを決定したものの、金融引き締め期間の長期化が警戒され株価が下落した。高金利下の投資対象として債券と株が比較されている状況だが、7月末から軟調が続く米国株式相場の今後をどう見ればよいか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんがイールドスプレッドに注目し、解説する。
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9月20日に米国のFOMCが終了しました。政策金利は5.25%から5.5%で据え置かれましたが、FOMCメンバーによるドットチャートが発表され、2024年末と2025年末の金利予想が6月から0.5%ずつ上方修正されました。この変化がタカ派姿勢と受け止められ、金利が上昇し、株価が下落しました。S&P500は週間で3%弱下落し、7月末から約2ヶ月間、高値を超えられず、直近の安値を割り込んでいます。しかし、見方を変えると、これは一時的な調整で、そろそろ止まる可能性もあるのではないかと分析することもできます。
今回は「イールドスプレッド」の視点からの分析方法について考えてみたいと思います。
S&P500は強気相場の中にいる可能性
S&P500はまだ弱気相場入りしているとは言えません。一般的に、高値から20%下落すると「弱気相場入り」とされますが、7月27日につけた高値から9月22日の安値までの下落率は6.31%です。
さらに、2022年10月13日の底打ち後、2023年2月2日にはすでに20%以上の上昇を経て「強気相場入り」した後の動きです。この観点から見ると、確率的には、強気相場の中の「調整」である可能性の方が、「弱気相場入り」した可能性よりも高いと言えるでしょう。