自身の基礎疾患や気になる症状ごとに、「病院を選んで受診する」人がほとんどのはずだ。高血圧や糖尿病など生活習慣病なら内科、関節痛なら整形外科、尿漏れや前立腺肥大なら泌尿器科というように、それぞれ専門外来を掲げるクリニックに通うケースは多い。
だが、高齢者にとって“多すぎる病院”は負担が大きく、足枷になりかねない。在宅介護エキスパート協会代表の渋澤和世氏が言う。
「健康に関して何でも相談できるかかりつけ医を持つことをお勧めします。高血圧や糖尿病、肺炎、認知症など幅広く診察できる内科医と整形外科医それぞれ選んでおくと良いでしょう」(以下「 」内のコメントは渋澤氏)
かかりつけ医を絞り込むことで、適切な治療やアドバイスが受けやすいなどのメリットがある。また高齢者ほど「かかりつけ病院」を持つことが重要になるという。
「私の親の経験からも、ある程度の年齢を超えると内科と整形外科の両方に不調を来たすことが増え、午前は内科、午後はあっちの整形外科へと移動や受付だけで大変です。どちらの診療科もある病院ならカルテは1つで済み、それぞれで処方された薬もスムーズに確認できるので飲み合わせNGの処方になってしまうリスクを減らせます」
薬の飲み合わせは命にかかわることもあるだけに重要だ。そして具体的には「地域密着で病床200床未満の入院施設のある病院」を選ぶといいという。
「紹介状がなくても初診料がかからず、必要な時は入院できる安心感がある。地域の中規模病院は在宅医療や訪問看護サービスを展開するところが多く、ひとり暮らしの高齢者にとっては退院後の療養についても相談しやすいメリットがあります」