JR東海、西日本、九州の3社が、東海道・山陽・九州新幹線の一部車両に設置されている「喫煙ルーム」を2024年春に廃止すると発表した。各社は廃止の理由について、近年の健康増進志向の高まりや喫煙率の低下などを挙げている。新幹線の喫煙ルーム廃止の発表を受けて、喫煙者だけでなく非喫煙者からも様々な声が聞こえてきた。
「せめて停車駅の喫煙所を整備してほしい」
不動産会社勤務の50代男性・Aさんは喫煙者。新幹線から喫煙ルームがなくなるというニュースに「ついに……」と悲痛な表情だ。
「喫煙車から喫煙ルームにかわった時から、いつかそんな日が来るだろうなとは思っていましたが、いざ決まるとショックですね。缶コーヒーを飲みながら一服するのが至福の時間だったので、かなり寂しくなります。街中や店で吸える場所が減っているなかで、新幹線まで……という気持ちです。
喫煙ルームが廃止されたら、新幹線の乗車前後でたばこを吸う時間をとりたくなる人が増えると思うので、空港に必ず喫煙所があるように、少なくとも新幹線が停まる駅には喫煙所が整備されるようになるといいな、と思います」
「国鉄負債も背負っているのに…」
喫煙者でメーカー勤務の30代男性・Bさんは、「時代の流れではあるけど……」とボヤく。
「喫煙者は税金をしっかり納めているのに、どんどん吸える場所がなくなっていますよね。街中や店で吸える場所が減っているなかで、新幹線まで」
実際、たばこの価格には国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税の4種類が含まれ、約6割を占めている。例えば1箱580円の商品なら、税負担は357.6円(61.7%)。Bさんが続ける。
「しかもたばこって、1本あたり約1円が国鉄負債の返済に使われているんですよね(*)。むしろJRは喫煙者に感謝してほしいぐらいですよ……」(Bさん)
【*注:国鉄が1988年に分社民営化された際、約37.1兆円の債務はJR各社と国鉄清算事業団、新幹線保有機構に継承されたが、国鉄清算事業団は1998年に解散。これにより約24兆円の債務が国に継承され、この返済に充てるための財源としてたばこ特別税が創設された経緯がある】