親が亡くなった後の実家をどうするか──都会から離れた土地に住む予定はなく、古い建物にはすでに傷みが目立っている。そんな実家を放っておくと近い将来、「負動産」となり、大きな負担となりかねない。だからこそ、家族で「実家じまい」の話し合いを進めなくてはならない。
都内在住の60代男性Aさんは、年末の里帰りを前に浮かない顔だ。
「東北の実家に帰省するたびに、親が死んだらこの家をどうするのかが心配になります。掃除をしてもすぐにゴミが増え、壁紙が剥がれて手入れもあまり行き届いていない。でも、父親にとって“人生で最も高い買い物”だった自宅の処分の話を持ち出すのはしのびない。兄や弟も内心は気にしているようですが、みんなどう切り出していいのか分からないから、時間ばかりが過ぎていきます」
“まだ親が元気だから”“亡くなってから考えればいい”といった感覚から、実家の処分についての検討は先延ばしになりがちだ。
しかし、親が亡くなった後に誰も住む予定がないのであれば、「問題を先送りにするのはよくない」と、NPO法人空家・空地管理センター代表理事の上田真一氏は言う。
「空き家を放置する家族は今後、様々な問題に直面することになります。相続が発生してから空き家の問題に対処するのでは遅いのです」
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