仕事優先だった人でも、人生の後半戦は「趣味」の占める比重が増える。ゴルフやカルチャースクール通い、家族・友人とのキャンプや旅行など“みんなでワイワイ”する姿が理想に思えるが、必ずしもそうとは限らないようだ。
「趣味は“みんなでやるもの”じゃないほうがいいと思います」と話すのは、経済アナリストの森永卓郎氏だ。
「何事も大勢で集まってやろうとすると、日程を合わせるために周りに振り回され、自分の時間が奪われてしまいます。家庭菜園やカメラ、俳句など、ひとりでできる趣味は無数にある。将棋や囲碁もオンライン対戦なら家でひとりでできます。誰かに教えてもらいたいとか、見てもらいたいとか、必要な時だけ集まればいい話だと思います」
森永氏はミニカー集めなどの趣味が高じ、自身のコレクションを展示する「B宝館」を運営するが、開館するのは毎月第1土曜の1日だけだ。
「開館日は世界中から来館者があって、毎回100人以上に来てもらっていますが、毎日のようにやろうとは思いません。固定資産税や電気代などのコストと入館料収入はトントンくらいですし、月に1回も皆さんに見てもらえば十分。それより頻繁にすると予定が埋まってしまうだけになる。開館日以外は他の好きなことができるというのが大切なんです」(森永氏)
“いつもみんなで”を前提としないことに加えて、「ひとつの趣味にべったり入り込まないこと」も重要になるという。
「ひとりでやれば時間を限定できるし、複数の趣味に手を出せます。私もコロナ中に始めた畑いじりなんかも楽しんでいます。趣味の数を増やしてもいいし、副業やボランティアなど、様々なことに手を出しておくことで、人生が豊かになるものと思います」(森永氏)
※週刊ポスト2024年1月1・5日号