職業の多様化が進み、若者世代では趣味を仕事にするケースも増えているが、定年後にそれを実現した人たちもいる。
アニメ制作会社を退職した佐藤一さん(66歳)は、大学時代から写真を趣味にしていた。
「以前は、知人から結婚式の撮影を頼まれて謝礼をもらったりしましたが、スマホでいい写真が撮れるようになって、依頼もなくなった。退職してから外出も減り、カメラに触れる機会もなくなって寂しい思いをしていたんですが、知人から『写真販売サイト』で売ることを奨められ、販売を始めたんです」(佐藤さん)
佐藤さんは無料ダウンロードのサイトと有料販売サイトの2つに登録し、撮りためていた写真をアップしてみた。写真の登録には審査があるが、著作権や公序良俗に反していないかどうかを確認されるだけで腕前は関係ないという。
「無料サイトでは1枚ダウンロードされて2~3円の収入ですが、無料なのでダウンロード数は多く、月7万~10万円くらい入る。有料サイトは1枚2000~5000円ほど入りますが、競争が厳しく、売り上げは月3万円くらい」(佐藤さん)
年金と合わせて現役時代と同程度の収入になっているという。
「出費は交通費くらいで元手がいらないのがいい。写真映えスポットを日常的にリサーチして出かけるようになり、健康になりました。さらに嬉しかったのは孫との関わりが増えたこと。子供夫婦の許可をとって孫の写真も販売しています。大きくなったら協力してくれなくなるでしょうが、触れあえる時間はなによりも大切です」(佐藤さん)