食卓の定番「食パン」だが、若年層ほど食べない傾向があるようだ。もちろん、家族と同居していれば食べる機会は多いだろうが、ここでは単身世帯、つまり一人暮らしのデータを見てみよう。総務省の家計調査(単身世帯、2022年)によると、食パンの年間支出金額は、34才以下が1730円、35~59才が3773円、60才以上が5644円、65才以上が5672円だった。34才以下と65才以上では約3.3倍の開きがある。
若者世代が食パンを手に取らない一方、高齢者の食卓にはしっかり根付いている構図が浮き彫りになっている。なぜ、若者は食パンを食べないのか。なぜ、高齢者は食パンをよく食べるのか。それぞれの世代の声から探った。
「それだけで食事にならない」のがネック
金融機関勤務の20代女性・Aさんは基本的にはパン全般が好きで、食パンも嫌いではなく、「むしろよく食べていた」という。
「実家での朝食は、時間がない時にさっと食べられるという理由で、決まって食パン。手軽に食べられるので、大学生で一人暮らしを始めたときは重宝していました」
それでも最近の朝ごはんは、パンの中でも菓子パンやおかずパンを選択する機会が増えたそうだ。
「食パンをトーストで食べようと思うと、焼き上がりを待たなければならないし、そのあとにバターやジャムなど、“何か”がいる。焼かないにしても、単体では成立しづらく、ハムや卵、野菜といった付け合わせが必要になります。
結局、食パンは“それだけで食事が成立しない”のがネック。菓子パンやおかずパンを優先しがちです」(Aさん)