現在、野球のメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズとの短期契約を結んでいるサイ・ヤング賞受賞投手のトレバー・バウアー(33)。2023年シーズンは横浜DeNAベイスターズと単年契約を結び、10勝4敗、防御率2.76という好成績を残した。
現状、メジャーリーグ復帰を第一目標としているが、日本球界復帰の可能性も否定されておらず、その去就に日本のメディアも野球ファンも注目している状況だ。そんなバウアーの立ち位置を見て「彼は非常に交渉上手だ」と感想を述べるのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏が、日本人も学びたい「バウアー流処世術」について解説する。
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3月19日のデイリースポーツ電子版には、〈「DeNAと連絡取っている」バウアーに新事実 メキシカンリーグ5登板限定契約は途中破棄可能 パワハラ疑惑で楽天解雇の安楽と同僚に〉という記事が登場。同記事によると、バウアーは自身のSNSでメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと短期契約を結んでいることを明かしており、さらには関係者からの情報として、以下のように記述されていました。
〈現在も「DeNAと連絡を取っている」と言い、「どんなことも起こりうる」と日本球界復帰の可能性を否定しなかった。〉
DeNAからは単年10億円相当のオファーも提示されていると報じられています。バウアーは昨年5月のデビュー戦こそ勝利したものの、続く第2戦、第3戦は両方とも7失点の乱調。その時は「えっ? この程度の実力?」と思われたものの、その後はさすがのサイ・ヤング賞投手の実力を見せ、最終的には10勝4敗、防御率2.76という見事な成績を挙げたのでした。
さらには、YouTubeで理論派であることを示したり、球場の舞台裏を見せてくれたりするなど、ファンサービスも徹底していて大人気に。アメリカでは女性への暴行疑惑が問題視されていたものの、日本のファンのハートはわしづかみにしていました。そんなことから、今季もDeNAでプレーすることを期待されましたが、日本で死亡事故を起こした元米兵が仮釈放されてアメリカに帰国した際、SNSに「Welcome home(おかえり)」と書きました。これが日本人の反感を呼び炎上。
さらには、2月のキャンプインにあたっても契約先が決まっておらず、根無し草状態に。ここまで来ると、DeNAファンも「もう、編成の都合もあるからバウアーがいない前提で開幕の準備をしようよ」というモードに入りました。