人生100年時代を迎え、定年後も含めてできるだけ長く働くことを考える人は多いだろう。そこで関連してくるのが「賃上げ」の流れだ。今年の春闘では賃上げ率が平均5.28%と33年ぶりの高水準を記録。この波にどう乗ればいいのか。“おじさん専門”のライフキャリアコンサルタントを標榜し、シニアのセカンドキャリアに詳しい金澤美冬氏が語る。
「“稼ぐこと”を最優先にするなら、シニアに門戸が開かれ賃金が上昇している業種として、タクシードライバーがあります」(以下「 」内は金澤氏)
全国タクシー・ハイヤー連合会の調査によると、法人タクシードライバーの年齢分布は70~74歳が最多で2割強。コロナ禍で落ち込んでいた平均年収(全国)は、2022年に前年比約80万円増の約361万円となり、過去最高額を更新した。
「配送ドライバーや介護ドライバーなども需要があります。ただ、これらは“体力勝負”の仕事。無理して体を壊してしまっては、せっかくの賃上げ局面なのに長期間にわたり稼ぐことが難しくなる可能性があります。週休3日にするなど身体を優先する働き方を考える必要があります」
別掲のリストは、金澤氏が挙げた賃上げが顕著な職種の例だ。
定年前の仕事と関係ない職種となる人も多いだろうが、金澤氏が知る元商社マンの60代男性は、ずっとやってみたかったファストフード店やホームセンターでの接客業に計週4日勤務し、“若い人たちと交流できた”“接客の楽しさに目覚めた”と話しているという。
「アルバイトでも就業時間帯を早朝や土日祝などにすれば高時給を狙えます。外国人観光客相手のインバウンド関連の仕事も活況。観光地のホテルなどがシニア人材を求めているので、スキーが趣味という人などは季節限定でリゾート地で効率よく働くといった選択もひとつです」