住まい・不動産

実は大都市圏ほど深刻な「空き家問題」 東京都では空き家の87%が共同住宅で近隣者への影響も懸念

高齢者の単身世帯の増加が空き家問題の深刻化に拍車をかけている(写真は高齢者サポートなどを話し合う孤独・孤立対策推進本部/時事通信フォト)

高齢者の単身世帯の増加が空き家問題の深刻化に拍車をかけている(写真は高齢者サポートなどを話し合う孤独・孤立対策推進本部/時事通信フォト)

 全国で「空き家」が増え続けていることが問題となっている。直近の統計では、その数は約900万戸にも達し、地方によっては5軒に1軒超が空き家になるまで深刻化している。だが、人口減少時代の社会経済問題に詳しい作家・ジャーナリストの河合雅司氏によれば、この問題は過疎化が進む地方圏だけの課題ではなく、大都市圏でも、今後ますます事態が悪化する可能性があるという。その深刻な現実をレポート。【前後編の前編。後編を読む

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 空き家が増え続けている。総務省が5年ぶりに実施した住宅・土地統計調査(2023年10月時点)の速報集計によれば、前回調査(2018年)より約50万6000戸増えて過去最多の899万5200戸となった。国内の住宅総数に占める割合(空き家率)も過去最高の13.8%を記録した。

 都道府県別の空き家の割合は、和歌山県と徳島県が同率トップ(21.2%)だ。山梨、長野、高知、鹿児島の各県も20%を超えており、空き家問題は人口減少が加速する「地方圏の課題」といった印象を受ける。

 だが、実数で順位付けすると、89万7900戸の東京都が最多だ。大阪府(70万3300戸)、神奈川県(46万6200戸)、愛知県(43万3200戸)が続く。

 これら4都府県に、東京圏の埼玉県(33万3200戸)、千葉県(39万3400戸)および大阪府と一体的な生活圏を築いている兵庫県(38万5000戸)を含めた三大都市圏の7都府県で計算すると、全国の空き家の40.2%にあたる361万2200戸となる。空き家問題は、住宅の多い大都市圏の課題でもあるのだ。

空き家率&空き家数トップ10

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