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「60か所も刺された」「服も布団も捨てた」…国内で増加するトコジラミ被害、駆除業者への依頼件数はコロナ前の5倍以上に 対策は自宅に持ち込まないこと

日本でもジワジワ増えているトコジラミにどう対処すべきか

日本でもジワジワ増えているトコジラミにどう対処すべきか

 虫が増えるこの時期、特にニュースを騒がせているのが、刺されると猛烈なかゆみに苦しめられるトコジラミだ。2023年に韓国やフランスで大量発生したトコジラミだが、今年3月、首都圏の電車内のシートで発見され、JR東日本が対応に追われた。いま、日本でもジワジワ増えているというトコジラミとはどんな虫なのか。殺虫剤など日用品の製造・販売を行うフマキラーの基礎科学研究部部長・佐々木智基さんが説明する。

「日本では古来“南京虫”とも呼ばれており、シラミと名が付きますが、実はカメムシの仲間です。乳白色の幼虫は体長1~4mm程度、赤褐色の成虫は5~8mm程度。人やペットなどの皮膚を刺して吸血します。毒はないのですが、刺されるとアレルギー反応が起き、腫れてかゆみが生じます」

 かゆみが強烈なため、刺されたらすぐに皮膚科へ。がまんできないときは冷やすのがおすすめだという。

「強力な殺虫剤の普及により、日本では1970年代までにほぼ姿を消していましたが、アメリカなどで2000年代以降増え始め、外国人旅行客を介して日本でも再び増殖。お客さまからの問い合わせも、2022年度は15件でしたが、2023年度は185件と約12倍に増えました」(佐々木さん・以下同)

 近年増殖しているトコジラミの中には、ピレスロイド系の殺虫成分に抵抗性を持つ、いわゆる“スーパートコジラミ”がいるというからやっかいだ。

「ピレスロイド系とは、天然の除虫菊から抽出された殺虫成分に近く、哺乳類などの恒温動物に対する毒性が低いため、家庭でよく使われてきました。しかしこれではトコジラミを駆除しきれません。毒性が強い有機リン系の殺虫剤の方がより効果的ですが、人体への悪影響が懸念されるため、市販されていません」

 効果的な殺虫剤が少ないため、自宅で発生したら専門業者に駆除を依頼するのがおすすめだ。害虫駆除専門会社・クリーンボーイ大阪の今西智洋さんは、

「コロナ禍以前に比べ、トコジラミの駆除依頼数は5倍以上増えました。弊社では、加熱乾燥車という特殊車両を使い、ベッドマットや畳などを90℃の熱風にあてて殺します」

 と言う。大切なのは自宅に持ち込まないことだ。

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