売り手市場が続く中、優秀な学生を獲得しようと多くの企業で初任給が上昇している。トヨタ自動車は、2024年度の新入社員の大卒初任給を22万8000円から2万6000円引き上げ25万4000円。くら寿司は全社員に一律3万円のベアを実施、2025年春入社の大卒初任給も3万円増の月額26万円にする見込みだ。
一方、初任給が上がったからと言って、必ずしもそれが従業員の賃上げに結びつくとは限らない。なかには「中堅の給料は据え置き」という企業もあり、“いびつな給与体系”に嘆きが漏れているようだ。
「もうちょっと遅く生まれたかった」
メーカー勤務の20代男性・Aさんは、入社5年目だが「入社する時期を間違えた」とぼやく。
「初任給が20万台半ばになったことで、新人と入社3年目~5年目の社員はほぼ同じ給料です。それでも、昇給のスピードは違うはずと思っていたのですが、そうではないようです。新入社員は私と同じ年齢になる頃には、数万円も多く給料をもらっているということです。もうちょっと遅く生まれたかったです……」
こうした給与体系については、Aさんだけでなく、社内から複数不満の声が上がっているそうだ。
「会社の成長に貢献している中堅社員も大事にしてほしいです。働くモチベーションは下がる一方です。同僚と飲むときは『給料が上がらないのっておかしくない?』とよく愚痴をこぼしています。
7年目の先輩は昇格したのに、新人と数万円くらいしか変わらない現実に、『やってられないよ』と言っています。ちなみに新人については『給料が高いんだったら、その分自費でどっかで学んでくればいいんじゃね?』と言っていて、あまり育てる気もないようです。そのうち先輩は転職する気がします」(Aさん)