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【注目銘柄】松風:成長加速が期待される歯科材料ニッチトップ

松風(7979):市場平均予想(単位:百万円)

松風(7979):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 松風(7979)は、歯科材料および歯科機器の大手総合メーカー。人工歯や研削材、金属、化工品類、セメントなどの歯科材料をはじめ、診療・技工用器具・機械に歯科矯正製品、またホームケア製品と、歯科治療から審美、家庭用品まで幅広い製品を展開しています。

 代表的な製品は、入れ歯や差し歯などに使われる人工歯で、年間約3600万歯を生産しています。この生産量は世界トップクラスとされます。また歯科用研削・研磨剤で国内トップシェアを獲得しています。医療全般の機械・材料市場と比べると小さい市場ですが、競争力の高い製品を積極投入し、また海外市場も開拓することで、業績規模を拡大させ続けています。

保険適用となったCAD/CAM 冠用材料に注目

 同社は1922年に高級陶歯の国産化を目指して設立されました。創業来、研究開発型企業で、歯科医療で使用される様々な材料や機器の開発・製造・販売を一貫して行ってきました。その過程で、1937年に現在も人工歯のスタンダードとされる「松風バイオ形態」を開発。1940年には今日の床用レジンの基礎「松風バイオレジン」を開発するなど、数多くの「日本初」「世界初」を生み出してきました。

 事業領域は、人工歯から研削材や化工品など歯科材料・機器全般へと広がり、人工歯だけでなく、他の製品群でも数多くの「日本初」「世界初」を生み出しています。

 新製品開発はリーディングカンパニーであり続けるための同社にとって重要な成長戦略であり、新製品売上高比率は同社のKPIの一つとなっています(同社における新製品の概念は、販売開始後36か月以内の製品)。

 2024年3月期における新製品売上高比率は15.9%で、中期的に20%まで引き上げていきたいとしています。新製品は高単価のため利益率を上げる効果が期待できます。

 2020年に三井化学(4183)の持分法適用会社となり、子会社サンメディカルを含めた3社の提携が強化されたことも新製品開発を勢いづける可能性あります。

 足元の新製品は、歯科用ボンディング剤、ビューティーボンド Xtreme、自己接着性レジンセメント、ビューティーリンクSA、歯科用デジタルカメラ、アイスペシャル C-5、国内唯一、大臼歯全般で保険適用となったCAD/CAM 冠用の材料、松風ブロック Peakがあります。いずれも伸びているとのことですが、特に大臼歯全般で保険適用となったCAD/CAM冠用の材料については、まだ浸透率20%ということで、今後の伸びが期待できる注目の製品です。

成長余地大きい海外展開を加速

 成長の余地は国内よりも海外に大きいとし、同社では海外事業へ注力しています。

 海外展開については、1971年のアメリカ「SHOFU DENTAL CORPORATION」設立を皮切りに、ドイツ、イギリス、シンガポール、中国、インド、メキシコ、ブラジル、ベトナムに販売、生産、開発拠点を開設。現在130カ国以上に製品を提供するに至っています。

 デンタル事業の海外売上高比率は年々拡大しており、いまでは事業全体の59%(2024年3月期実績)を占めるまでになっています。同社では市場成長を見据え、規制やニーズにあった製品を投入することで、この比率を中長期的には64%程度まで引き上げたいとしています。

 歯科業界は、先進国を中心にデジタル歯科や審美・予防分野の更なる成長が期待でき、新興国では経済成長に伴って歯科医療の需要拡大が見込まれ、世界歯科市場は成長が続くと予想されます。調査会社DRIによると、世界の歯科市場は、2023年に572億ドルとされ、2024年から2030年の間に8%のCAGRで成長し、2030年には1013億ドルに達すると予想されています。

 そして、Stratistics MRCによると、歯科市場の拡大伴い、歯科材料市場は2023年の49億ドルからCAGR 9%で成長し、2030年には88億米ドルに達すると予想されています。同社のデンタル海外事業は2024年3月期に9%(為替の影響を除いて)の成長を記録したので、世界市場の成長率と同じペースで拡大したことになります。

 海外事業は好調ですが、認知度は低く、事業拡大の余地は大きく残されています。同社では各国の薬事規制などに応じた販売網の拡充を進めているところです。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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