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今年最大のIPO案件「東京メトロ」新規上場で儲ける方法 IPOジャパン編集長が教える「勝率8割超」の新規公開株投資術

IPO株投資のポイントとは(イメージ)

IPO株投資のポイントとは(イメージ)

 2024年3月に日経平均株価が4万円超まで上昇した大相場のなか、「IPO(新規上場)株」への投資が注目を集めている。「IPO株を公開価格で手に入れれば、儲けが出る確率が高い」とされるだけに、虎視眈々とそのチャンスを探っている投資家は少なくないだろう。

 企業が新規上場する際、まず設定されるのが株式の「公開価格」だ。公開価格は、主幹事となる証券会社が機関投資家など専門家の意見を集約、新規上場企業の業績予想や、すでに上場している同業他社の株価などを加味した上で仮決定する。それを投資家に提示し、需要状況を把握して最終決定する流れが一般的だ。この一連のプロセスは「ブックビルディング方式」と呼ばれている。

 そうして決まった公開価格は、「上場後に想定される株価」より割安に設定されているケースがほとんどだという。

直近3年間の「勝率」は7~8割超

 新規公開株の関連サイトのなかで随一の情報集積度を誇る「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が語る(以下「」内は西堀氏)。

「新規上場企業は既存の上場企業に比べ投資リスクが高いとされるため、上場後に想定される株価より20~30%ほど割安に設定(IPOディスカウント)されるのが通例です。そのためIPO株は、上場後の初値が公開価格を上回るケースが多い。つまり、IPO株を公開価格で買い、初値で売ればかなりの高確率(勝率)で利益を得られるということです」

 具体例を見ていこう。2024年では、6月末までに38件のIPOが行なわれた。このうち、上場後の初値が公開価格を上回ったケースは32件。同値は2件で、下回ったケースは4件だけだった。勝敗で言えば32勝4敗2分となり、「勝率」は84.21%に及ぶ。ちなみに、2022年のIPO株(全91件)の勝率は78.02%、2023年(全96件)は69.79%だった。西堀氏が続ける。

「直近3年間のIPO株の“勝率”は7~9割に達します。さらに、初値が公開価格に対し何%上昇したかを測る『初値騰落率』については、昨年から今年にかけ100%(公開価格の2倍)を超える銘柄が複数ある。全体相場の盛り上がりがIPO市場にも好影響をもたらしていると言えるでしょう」

 たとえば2024年3月に新規上場した就職求人サイト運営会社「ジンジブ」(東証グロース・142A)は、公開価格1750円に対し3980円の初値をつけ、初値騰落率は127.47%と2倍を超えた。同じく2倍超えのIPO銘柄は今年だけでも全35件中6件ある。

 2024年は全80~90件のIPOが行なわれると予想されており、この先も「IPO株」で儲けるチャンスは少なくなさそうだ。

注目の「東京メトロ」上場で株主優待導入はあるか

「今年最大のIPO案件として注目しているのが『東京地下鉄(東京メトロ)』です。東証プライム市場に直接上場する大型案件で、売り出す株数も大量になるため、上場直後に株価が2倍を超えて急騰するようなケースは想定しにくい。とはいえ、株主優待を期待する個人投資家の買いが続き、株価は緩やかな上昇トレンドを続けていくと考えられます。安定配当が見込めるため長期保有を前提に初値買いしても良いでしょう」

 そのほか、西堀氏は7月26日のIPOが予定される、求人マッチングアプリ運営会社の「タイミー」にも注目しているという。

「同社の求人アプリのユーザーは700万人を超え、2022年10月期の経常黒字化以降、収益の急拡大が続いている。女優・橋本環奈さんを起用したテレビCMで認知度もアップしているので、個人投資家の買いを呼ぶと考えられます。東京メトロほどではないが比較的大型のIPOとなり、売り出す株数も中・小型のIPOより多いため、上場初値が公開価格から大きく跳ねることはないと考えられます。しかしながら、人手不足の中、短時間バイトのニーズは大きく業績は堅調に推移すると予想される。上場後、機関投資家の買いも入って大化けする可能性が十分あると考えられます」

ブックビルディングに参加しても手に入るとは限らない

 まさに「お宝銘柄」の宝庫と言えるIPO株だが、難点は「株の購入が難しい」ことだ。西堀氏が指摘する。

「個人投資家がIPO株を購入するには、公開価格設定時のプロセスの一つ『ブックビルディング』に参加することが必須条件となります。その上、IPO株は総じて人気なので抽選となるケースがほとんど。ブックビルディングに参加しても、必ず株式が手に入るとは限りません」

 IPO株の大部分を引受けるのは、企業の新規株式公開時に中心となってサポートする大手の「主幹事証券会社」。配分される株数が多い反面“ライバル”も多い。

「いわゆる大口の優良顧客にIPO株を優先配分する証券会社もあり、小口の投資家がブックビルディングに参加、抽選に臨んでも、IPO株をゲットできる確率は極めて低いのが実情です」

上場後の「セカンダリー」を狙う

 だが、こんな手もある。

「複数のネット証券に口座を開設し、ブックビルディングに参加する方法があります。ネット証券会社は完全な抽選制を採っているケースが多い。多数のネット証券で申し込めば、その分、当選の可能性をアップすることができます」

 たとえIPO株を公開価格で入手できなくても、「新規上場企業IPO後の初決算における“業績上方修正”を狙う戦略があります」と西堀氏は言う。

「いわゆる上場後の“セカンダリー”を狙う方法です。IPO企業は上場時に保守的な業績予想を出す傾向があるので、上場後、経常利益などの上方修正が起こりやすい。業績が上方修正されれば、市場は『成長性が高い』と判断され、株価が大きく動くことがしばしば起こります。つまり、IPO企業の上方修正発表直後に買いを入れておけば、1週間から10日間のうちに利益を得ることも不可能ではありません」

 IPO株投資は一見、ハードルが高く見えても、やり方次第で十分利益を狙えるのだ。

【プロフィール】
西堀敬(にしぼり・たかし)/投資情報サイト「東京IPO」編集長などを経て、現在は「IPOジャパン」編集長(https://ipojp.com/)。IR説明会、セミナーなども多数行なう。著書に『改定版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』など。

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