かつてはよく耳にした「現役バリバリのメジャーリーガー」という言葉は、いつの間にか消えてしまった。1980年代~2000年代まで、メジャーリーグでレギュラークラスの選手が日本のプロ野球にやって来て、その実績から多くのプロ野球ファンがワクワクしたものだ。ところが昨今、そうした選手が来日することは、ほとんどなくなった。幼少期から長らく野球を見続けてきているネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、「こうした状況は、今の日本の経済力の低下を如実にあらわしているのでは」と憂う。
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私は日本の国力の低下をプロ野球における外国人選手から感じます。かつては「現役バリバリのメジャーリーガーがやって来た!」という言葉がよく出ていたんですよ。シェーン・マック、マイク・グリーンウェル、ボブ・ホーナー、ウォーレン・クロマティ、フリオ・フランコといった、メジャーでとんでもない実績を誇る選手が日本に来ていた。
もちろんご承知の通り、全員が全員、大活躍をしたわけではなかった(まったくの期待ハズレもいた)のですが、このようなビッグネームを呼ぶだけのお金が当時の日本にはあったのですね。だからこそ「現役バリバリのメジャーリーガー」という言葉が存在したのです。
直近では2013年に楽天にやって来たアンドリュー・ジョーンズ(AJ)が最後かな……。まぁ、去年のバウアーは完全にそうですが、あれはいろんな事情があったので例外としておきます。
ところが今の日本球界の外国人選手を見渡すと、「メキシカンリーグで2年連続3割」やら「3Aで30本塁打」みたいな選手ばかりになっている。もはや日本の経済力では現役バリバリのメジャーリーガーなんて獲得できないのです。当然、現役バリバリのメジャーリーガーである大谷翔平を年俸40億円で獲得できるチームなんてないでしょう。
この状況、私はひどく憂いています。なにしろ「助っ人」と呼ばれる外国人選手について、今では年俸1億円程度で獲得し、野手なら打率.260、15本塁打、60打点でも取れれば「優良助っ人」扱いされるのですから。
日本経済が強かった時代は、打率.310、42本塁打、100打点といった外国人選手も珍しくなかった。そういった選手を獲得できるだけのお金が当時の日本の球団にはあったのに、最近では「韓国リーグで活躍した」やら「メキシコリーグで立派な成績をあげた」みたいな選手しか獲得できなくなっています。