「もしトラ」「ほぼトラ」から、「確トラ」状態へ──7月13日(現地時間)に米東部ペンシルベニア州バトラーで発生したドナルド・トランプ前大統領(78)の銃撃事件は、選挙戦の行方を大きく動かしただけでなく、マーケットにも大きな影響を与える。
銃弾を受け、右耳から血が滴るなか拳を突き上げる──暴力に屈しない強さをアピールしたトランプ氏の姿から、11月の大統領選勝利を確実視する空気感も醸成されつつあるようだ。銃撃事件から一夜明けた15日の市場ではドルと米国先物が上昇し、トランプ・メディア株も一時50%上昇するなど株式市場は「確トラ」ムードに沸いている。
マーケットバンク代表の岡山憲史氏が語る。
「銃撃事件後の日本のマーケット初日となった16日は、防衛関連株がダントツで買われました。前回のトランプ政権は日本などの同盟国に対し、独自に軍備を拡大するよう主張。再選すれば防衛分担金の見直しなどを日本に迫る可能性があり、日本の防衛産業には追い風でしょう。これは瞬間的な動きではなく、中長期的なトレンドであると見ていい。同様に、今後はトランプ大統領の誕生に向けて様々な銘柄が動き出します。
トランプ氏が大統領に就任すれば企業重視の減税・財政出動に動くと考えられ、米国の景気は回復する一方で、財政赤字は拡大するので金利が上昇する。金利上昇によって日米の金融株、銀行株は買われます。金融セクターも『確トラ』銘柄の柱になると考えられます」
ケイ・アセット代表でマーケットアナリストの平野憲一氏は「内需関連銘柄」に注目する。
「米国第一主義を掲げるトランプ氏は自国の製造業を守るため、ドル安・円高を求める傾向が強い。すると日本では輸出関連銘柄より内需関連銘柄が買われると考えられます。特に建設関連と銀行の急騰が期待できます」