日本の基幹産業でもある自動車業界は、今まさに過渡期を迎えている。世界的なEV(電気自動車)シフトが加速する一方、テスラがある米国では充電などのインフラ整備の遅れによって需要の伸び悩みが起きている。日本も同様で、普通自動車の販売台数におけるEV比率はたったの1.99%に留まっている(日本自動車販売協会連合会調べ)。
EVの発展は充電設備の整備にかかっている状況だ。この“ブルーオーシャン”の充電事業には多くの大手企業が参戦しているが、ベンチャー企業ながら奮闘しているのが「ジゴワッツ」だ。2014年、わずか3人の若者が創業したEV用充電器メーカーは今、世界が注目する企業になりつつある。彼らは自動車業界の未来をどう見ているのか。同社の柴田知輝社長(38)にインタビューした。
そもそも、なぜ「EV充電器」の会社を作ろうと考えたのか。
「慶応義塾大学のSFCキャンパスに通っていたのですが、ウェブの会社を起業するなど学生時代からビジネスの世界に興味がありました。大学3年生の時まだ発売前のEVに試乗する機会があって、そこで充電器の認証と課金の仕組みを思いついたんです。そのアイデアをまとめてビジネスコンテストに応募したのですが、最終選考のプレゼンに寝坊で遅刻してしまった(笑)。不完全燃焼のまま終えてしまって、ずっとそれを引きずっていました。
京都大学の大学院に進学したのですが、EVへの思いを捨てきれず、当時EV充電器の研究をしていた石川県のPFUというメーカーに就職しました。3年ほど働きましたが、当時はまだEVはビジネスとして上手くいかなかった。いつかまた起業したいという思いもあったので、2014 年3月に退社し、ジゴワッツを創業しました」(以下、「」内は柴田社長)