住まい・不動産

子供の独立後「自宅のダウンサイジング」に潜む落とし穴の数々「旧居に買い手がつかない」「大規模修繕で大出費」「購入後に管理費が値上げ」

「自宅のダウンサイジング」で失敗するケースも(イメージ)

「自宅のダウンサイジング」で失敗するケースも(イメージ)

 子供の独立後、コンパクトな住居に住み替える「ダウンサイジング」を検討する人は多い。だが、そこには落とし穴も少なくない3年前、自宅を手放した60代男性Aさんが言う。

「定年退職を機に郊外の戸建てを売って駅近の40平米程度の新築マンションを購入することにしました。戸建ての売却代金をそのままマンション購入費に充てる予定で、先に新居の購入手続きをしたのですが、これが失敗でした。新居の引き渡しまでに戸建てに買い手が付かなかったんです。当てにしていた売却金がなくなり、多額の退職金を取り崩して新居を購入するハメになりました」

 こうした買い替えの失敗はよくあるケースだと住宅ジャーナリストの日下部理絵氏は言う。

「転居先を見つけても、売るはずの自宅が築古の戸建ての場合、需要がないことが多い。また、元の住まいがマンションの場合、1981年5月31日以前に建てられた旧耐震基準の物件は要注意です。資産価値が低く、銀行側がローン融資を避ける傾向がある。買い手が現われたのに住宅ローン審査が通らないといったケースが散見されます」

 対策はあるのか。

「買い先行の場合、転居先の物件購入時に“自宅が売れなければ契約は白紙”にできる『買い換え特約』を付けましょう。この特約を付ければ、Aさんのような事態は避けられます」(日下部氏)

 一方で先に売却を決めてから新居を購入する「売り先行」にもリスクがある。

「目星を付けていた新居が買えるとは限りません。先客が現われてしまうかもしれない。新たに希望の物件が購入できるまで賃貸暮らしを余儀なくされた、といったケースは珍しくありません。

 自宅の買い替えは、売りと買いの同時進行が望ましいですが、売買を急ぐあまり失敗するケースもあるので注意が必要です」(同前)

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