日本の国民食ともいえるほどの人気を誇る「とんかつ」。濃厚なソースで食べるのが定番だ。しかし昨今、専門店などを中心に「塩」で食べるスタイルを推奨するケースも増えている。
原材料に野菜や果物を使うとんかつソースには、絶妙な酸味と甘味で豚肉や衣の油っこさを調和させる効果がある。ただしその濃厚な味が強力であるがゆえに、豚肉の素材の旨味を隠してしまう一面も指摘される。一方の塩は、さっぱりした味わいで素材の旨味を引き立て、衣のサクサク感を損なわないという利点もある。いうなれば、とんかつの“素材の魅力”を最大限に活かす調味料であるともいえる。
それぞれ異なる魅力があるため、好みは分かれるところだろう。それぞれの「とんかつの流儀」を聞いた。
週に1回は必ず専門店でとんかつを食べるという都内に住む会社員のAさん(40代男性)は、完全なるソース派だ。
「自宅の近所にある昔ながらのとんかつ店に通っています。その店で出てくる、こんがりときつね色に揚がったとんかつに、濃厚なソースをたっぷりかけて食べるのが好きですね。キャベツの千切りもドレッシングではなく、とんかつソースをかけて食べます。
他のとんかつ店では塩で食べたこともありますが、やっぱり物足りませんでした。僕は『とんかつが食べたい』というよりも『とんかつソースをドバドバかけたとんかつを食べたい』んだと思います」(Aさん)