2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大されるが、たとえば個人経営の飲食店の場合はどうなるのだろうか。パートの保険料を経営者が払うことになるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
テレビのCMで知ったのですが、社会保険の適用が拡大されるそうです。私は昨年、脱サラし、夢だったラーメン店をオープン。乏しい資金で開店したため、毎日のように原価計算などに頭を悩ませています。その上、適用が拡大されたら、パートさんたちの保険料も、私が支払わなければならないのでしょうか。
【回答】
健康保険や厚生年金保険の社会保険は、職場がその制度の適用がある事業所(適用事業所)なのが前提です。会社経営の事業所であれば、どんな事業をしている会社でも、たとえ従業員が1人でも適用事業所になります。
しかし、個人経営の場合には、一定の種類の事業をする場合で、なおかつ常時5人以上の従業員を雇っている事業所のみが適用事業所だと判断されます。適用事業所になると、社会保険の適用があり、従業員は被保険者となります。
例えば飲食店の場合、会社経営なら、当然に適用事業所です。ただ、個人経営の店でも、5人以上の従業員が業務に従事し、食べ物を販売すれば、物の販売事業として適用事業所になりますが、飲食サービスの提供事業になると、適用事業所の範囲に含まれません。