2024年は新NISAがスタートした影響もあり、投資に興味を持った人も少なくないだろう。近年は仮想通貨(暗号資産)など投資商品のバラエティーは豊富になり、スマホがあれば始められるという手軽さもある。
初心者でも始められる投資が増えた一方、億り人で専業投資家の「www9945氏」は、「最低限の知識すら持たずに参戦して勝てるほど、甘い世界ではない」と警鐘を鳴らす。
今でこそ資産7億円を築いたwww9945氏だが、1990年代の投資を始めて間もない頃は自身の悪癖もあいまって、手痛い失敗を数々経験したという。www9945氏の著書『年収300万円、掃除夫だった僕が7億円貯めた方法』(宝島社)より、初心者が参考にしたい投資の失敗談を一部紹介する。
ワラント、オプション──抑えがたいギャンブルへの衝動
ナンピンよりも大きな問題が自分自身の中にあった。ギャンブルへの衝動だ。
最初に手を出したのはワラントだった。社会人になって2年目、まだ買いたい株の値段が高すぎて買えずにくすぶっていた私には、少額から始められるワラントは天啓のように感じられた。ワラントはオプションという取引の一種で、基本的には株価に連動して動くが、動く値幅は株価の数倍、数十倍にもなる。典型的なハイリスク・ハイリターン商品だ。しかも、取引期限を過ぎると価値はゼロになる。初心者は手を出さないほうがいい代物だ。
私が買ったのは住友金属のワラントだった。たいして仕組みがわかっていないにもかかわらず30万円分を買ったのは、「一発当たれば数百万円」というヤマっ気以外の何物でもない。
6月に購入してから数カ月、一度も買値を上回ることはなくジリ下げが続くばかりで、期限である翌年4月を前にして、さすがに損切りする気になったが、すでに価格は0.05円だった。刻み幅は0.05円だから、「もうこれ以上は下げられない」という水準だ。それでも、30万円がゼロになるよりはマシだからと売り注文を出したが、売り気配のまま期限を迎え、取引が成立することはなく、30万円は紙切れとなった。
株でいえば株価1円、しかも売り気配のボロ株に売り注文を出していたようなものだから、自業自得だ。
ワラントのようなデリバティブ商品は儲かっても損をしても「ふ~ん」といった感じだ。デリバティブの世界だと1万円札は軽い。
それから5年後には日経225オプションというのを手掛けるようになった。当時、個人向けに扱っていたのは松井証券だけだったので、日本橋郵便局の裏手にあった松井証券まで出向いた記憶がある。対面で誓約書に捺印しないと取引できなかったからだ。
日経平均が1%動くだけで、オプションの価格は30%も上下した。