いま日本でも、金利上昇局面を迎えている。今後、さらなる利上げが想定されるなか、株式市場にはどのような影響があるか。また、金利上昇を受けてどのような企業が好影響を受けるだろうか。最新の決算をもとに、個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が分析する。
* * *
日本はいま金利上昇局面を迎えている。コロナ禍を経て日本の企業は活力を取り戻しており、日銀は、政策目標として掲げてきたインフレ率2%を安定的に超えられるという判断をし始めているようだ。国内外からも日本の政策金利の段階的引き上げについて提言がなされている。
マーケットはこの状況を折り込み、日本国債10年物利回りは1%を超えている。金利と株価はシーソーの関係で、金利が上昇すれば株価は下がっていくと一般的に言われる。しかし、金利が上昇する局面で株価が上がるセクターもある。それが銀行を中心とした金融セクターである。
今回は金融セクターの中でも金利連動によって株価上昇が期待できる銘柄を、メガバンク、地銀、その他金融の業種から1銘柄ずつ紹介していきたい。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
国内最大の金融グループであり、傘下は銀行、信託、証券、カードなど多岐にわたる。11月14日に発表された2025年3月期第2四半期決算でも対前年比で大幅成長を実現しており、「顧客部門の堅調な業績の進捗」「株式の持ち合い解消加速の流れを受けた政策保有株式の売却進展に伴う株式売却益の増加」を理由として、純利益の業績目標を 2500 億円に大幅上方修正を行っている。
また、2025年3月期からの3年間の中期経営計画の財務目標も、「親会社株主に帰属する当期純利益で 1 兆 6000 億円以上」および「ROE(自己資本利益率)9%程度」については、2025 年3月期に前倒しでの達成を目指すと発表した。
傘下にアメリカの大手投資銀行であるモルガン・スタンレー社を持分法適用会社として保有している点は、同社が三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)などと大きく差別化できる点と言える。
アメリカは現在利下げ局面に入っているものの、トランプ政権がスタートすることにより厳しい関税政策が行われることが予想されている。輸入価格の上昇で、アメリカの物価は再度インフレ傾向に向かう可能性も指摘されている。仮に物価上昇となればアメリカは再度、利上げ局面の到来が想定される。こうなると、アメリカの巨大金融グループは当然大きな恩恵を受けることになるだろう。つまり、同社も大きな追い風を受けることが期待される。
日本は現在、利上げ機運にあるが、金融セクター全体に株価上昇の期待が高まっているが、アメリカの状況によっては、同社にはさらなる追い風も期待できる。まさに注目すべき銘柄と言える。