警察庁が発表した2024年1月から10月までのSNSによる投資詐欺の被害は、約747億7000万円に上る。SNS経由で投資グループへ勧誘して多額の金を騙し取られる詐欺が問題化している。詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏が、SNSを通して投資詐欺の被害に遭った人物に話を聞いた。【前後編の前編】
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SNS上の有名人を騙る広告から、偽の投資サイトに誘導されて、被害に遭うケースが止まりません。Instagramで、経済評論家・森永卓郎さんになりすました広告を見たことをきっかけに、ある70代女性はLINEに誘導されて、8億円を超えるお金を騙し取られています。これは、SNS型投資詐欺では最高の被害金額になります。すでに被害総額は約747億7000万円(警察庁発表:2024年1月から10月まで)と甚大なものになっていますが、その被害のきっかけはメタ社の運営するプラットフォーム(Facebook、Instagram)での有名人を騙るなどの投資広告が多いといわれています。
すでに第一次、第二次にわたってメタ社を相手に被害者らが提訴しており、損害賠償の請求総額は4億3000万円にのぼっています。訴状では「メタ社は令和6年6月11日までメールアドレスのみで広告の出稿が可能だった」としており、広告主の本人確認がなされず、充分な審査をされないままに広告が掲載されてきた「注意義務違反」などの責任を指摘しています。詐欺グループが犯罪行為の意図を隠したうえで前澤友作さんら著名人を騙った嘘の広告を容易に出せる状況だったのではないかという指摘です。
第一次の訴訟では、アメリカのメタ本社は詐欺につながる投資広告に対して、真実性の調査や確認をする義務はないとして、争う姿勢を見せているということです。今後の裁判の行方が注目されます。
この手口では多額の貯金をもっている人が騙されると思っていないでしょうか。そう考えている方は危険かもしれません。