スターバックスでは、おいしく食べられるのに様々な理由で廃棄されてしまう規格外バナナ、通称「もったいないバナナ」を使ったメニューが販売されている。環境への配慮を全面に押し出した取り組みに見えるが、イトモス研究所所長・小倉健一氏によると、「ビジネスとして非常に賢い戦略」と評価する。いったいどういうことか、小倉氏が解説する。
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スターバックスは、2024年5月から「もったいないバナナ」キャンペーンを始めている。このキャンペーンは食べ物を無駄にしないことを目的としている。スーパーマーケットなどで売られているバナナは、形や大きさが決まっているため、少し曲がっていたり小さすぎたりするバナナは、そのまま売り場に出すことができない。
スターバックスはこのような規格外のバナナを使って、「バナナ ブリュレ フラペチーノ」「バナナの米粉マフィン」「バナナの米粉ロールケーキ」という3つの新商品を作った。約300万本ものバナナを使っているという。商品を買った人には「救出ありがとうございます!」というメッセージが書かれたレシートが渡されるから、「なんだこれは!」と驚いて気付いた人もいるかもしれない。
このキャンペーンで使われる「もったいないバナナ」は、バナナの会社ドールが2021年から始めた取り組みの一部である。店頭に並べられないバナナを無駄にせず、おいしい商品に生まれ変わらせる活動だ。スターバックスは完熟バナナと焦がした砂糖を組み合わせたり、米粉を使って新しい食感を作り出したりするなど、工夫を凝らしている。ただし、これらの商品は普通のバナナを使った商品より20~30%ほど値段が高く設定されているようだ。