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《被害額はまだ膨らむ恐れ》東京女子医大の岩本絹子・元理事長を約5年追及し続けたジャーナリストが見た“独裁者の素顔”

逮捕された岩本絹子容疑者(中央奥。時事通信フォト)

逮捕された岩本絹子容疑者(中央奥。時事通信フォト)

 2025年1月13日、東京女子医科大学の元理事長・岩本絹子容疑者(78)が背任の疑いで逮捕された。名門医大の元トップの逮捕という衝撃的な事件だが、巨額不正支出の全貌は今なお見えず、当局による全容解明はこれからとなる。

 今回の逮捕容疑は、大学の2つの新校舎をめぐって1級建築士の男性(68)に建築アドバイザー業務の名目で振り込んだ報酬約1億1700万円の一部が、岩本容疑者にキックバックされていたというものだ。その後、別の建築工事をめぐっても岩本容疑者が約5000万円を受け取っていた疑いがあるとして捜査が進んでいると報じられている。

東京女子医大の清水治理事長は、逮捕当日に学内で記者会見を開き謝罪。「(逮捕を)厳粛に受け止めている。皆様に深くおわび申し上げる」「元理事長の専横的な意思決定に十分な牽制、ガバナンス(組織統治)を発動することが出来なかったことが大きな原因」などとコメントした。

 岩本容疑者をめぐる疑惑を2020年頃からおよそ5年にわたり追及してきたのがジャーナリスト・岩澤倫彦氏だ。本誌・週刊ポスト(1月17日発売号)では、岩澤氏が東京女子医大で何が起きていたのかをレポートしている。

 2014年に起きた医療事故を機に患者数が激減した東京女子医大に、経営の立て直し役として乗り込んだのが創立者一族である岩本容疑者だった。徹底したコストカットで黒字化を実現したことにより、「女カルロス・ゴーン」と呼ばれたが、岩澤氏は理事長に就任した2019年頃から岩本容疑者の暴走が始まったとする。

 岩澤氏は内部告発や独自調査をもとに、東京女子医大に独裁者のように君臨した岩本容疑者をめぐる数々の疑惑を報じてきた。そのなかのひとつに、今回の逮捕容疑となった一級建築士の男を介した流出資金の還流があるわけだ。

 岩澤氏が報じてきた疑惑では、他にも岩本容疑者が会長を務めていた同窓会組織・至誠会から東京女子医大に出向させるかたちとした職員への給与支出をめぐる不正などがある。文科省の指導により設置された第三者委員会が昨年8月に公表した報告書では、岩澤氏が報じた疑惑の大半を事実と認定された。他の疑惑を含めれば、東京女子医大の被害金額はさらに大きく膨らむ可能性がある。

 逮捕が近いとの情報を得た岩澤氏が、岩本容疑者の自宅前でキャッチした当人の姿は、かつてとは別人のようだったという。

 現在、「マネーポストWEB」では、東京女子医大の事件についての岩澤氏のレポートを全文公開している。同記事では、岩本容疑者が逮捕に至るまでの経過、今後解明されるべき疑惑、被害金額の全貌、そして逮捕直前の岩本容疑者の姿などが詳らかにされている。

■全文公開:東京女子医大・岩本絹子元理事長の素顔「女カルロス・ゴーンの異名」「裏口座で管理したカネを側近と山分け」「疑惑報道にはスラップ訴訟」…被害総額は6.8億円に上る可能性も

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