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早稲田大学が大躍進、文系学部入試での「数学の必須化」がもたらした“絶大な効果” 受験偏差値だけでなく人生においても「慶應に圧勝」してしまう可能性

早稲田大学の入試はどう変わったのか

早稲田大学の入試はどう変わったのか

 近年、早稲田大学の各学部の偏差値が急上昇している。かつて早稲田大学の入試と言えば、暗記型のマークシート試験やマニアックな知識を問う問題が多く、文系3教科型受験が一般的だったが、近年の入試改革によって幅広い層の受験者を集めることに成功しているのだ。いったいどのような改革を行ったのか。イトモス研究所所長・小倉健一氏が、早稲田大学躍進の秘密を解き明かす。

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「ひたすら英語、国語、地歴・公民の3教科を勉強してきた受験生が、主体的な学習を進めようとする大学教育とうまく結びつかないことがありました。大学で勉強するためではなく、とにかく早稲田に入ることを目的にしていると、入学してから学習に熱心ではない学生が一部で生じていました」

 これは、早稲田大学大学総合研究センター副所長の沖清豪氏の言葉だ(朝日新聞EduA〈早稲田大が初の卒業生調査 一般入試組と附属・系属校出身に違いは?〉2021年5月28日付より)。

 早稲田大学はこうした考えをもとに、入試制度を根本的に改革した。その甲斐あってか、早稲田大学の各学部の偏差値は急上昇しており、今ではライバル慶應義塾大学を凌駕している現実がある(詳細は後述する)。

 早稲田が公表しているデータをもとに、この10年の変化を数字で見ていこう。

 早稲田大学の2024年度の入学試験結果データによれば、一般選抜の割合は51.2%である。2014年度は55.4%であり、減少が見られる。一般入試の比率低下は、推薦やAO入試など多様な選抜方法が拡大していることを示している。附属校・系属校からの入学者割合は2024年度で18.0%に達している。2014年度は14.6%であり、こちらも増加が確認できる。附属校出身者の枠が拡大し、大学と附属校の連携強化が進んでいることが背景にあると考えられる。

 指定校推薦の割合は2024年度で17.8%である。2014年度は15.0%であり、微増している。高校との関係構築が強化されていることが反映されている。AO入試・自己推薦の割合は2024年度で9.2%である。2014年度の4.6%と比べて大幅な増加が見られる。多様な才能や個性を持つ学生を積極的に受け入れる方針がうかがえる。共通テスト利用入試の割合は2024年度で2.0%である。2014年度は1.7%であり、ほぼ横ばいである。独自選抜を重視する方針が続いている。

 つまり、一般選抜の割合が減り、推薦やAO入試など多様な選抜方法が拡大することで、偏差値が上がったというのが実態であろう。また、早稲田大学は入試改革を通じて、暗記型受験の見直しを図った。政治経済学部を皮切りに共通テスト導入や数学必須化を実施し、出題形式と範囲を大幅に変更した。この改革により、知識偏重の選抜から幅広い学力を持つ学生を対象とした入試へと進化した。特に、東京大学や一橋大学志望の国立大併願者をターゲットとする制度が実現した。結果として、偏差値を維持しながら受験生層の質的向上に成功し、多様な学生の確保を達成している。

次のページ:文系であっても「数学を必須化」する理由
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