年金だけでは老後の出費はまかなえない?(写真:イメージマート)
年金は老後の生活費として重要な存在だが、受給額は人それぞれ。年金だけでは生活が難しく、仕事を続けているという人も少なくない。年金暮らしの女性は、年金収入と仕事のバランスをどうとっているのか。そのリアルケースを見てみよう。【年金暮らしの家計簿・前編】
週4日の介護の仕事を体が動く限り続けたい
五百円玉貯金でドイツへ。目標があると節約も苦にならない
訪問介護歴35年の介護福祉士・藤原るかさん(69才)は、東京都在住のひとり暮らし。シングルマザーで介護の仕事をしながら2人の息子を育てあげ、現在は5人の孫に恵まれる。月約7万6000円の年金では足りないため、家賃負担の少ない都営住宅に暮らし、現在も訪問介護の仕事を続けて生計を立てている。
「月の生活費が約16万5000円で、年金受給額は月に約7万6000円。不足分の約9万円は訪問介護の収入で補填しています」と語る藤原さん。月約9万円を稼ぐには、週3回以上、月50時間以上の勤務をこなす必要があり、藤原さんは週4日働く。体力の続く限り仕事を続けたいという。
「訪問介護では、介護を受けるかたの体調や性格はもちろん、その人の生活や取り巻く環境によっても接し方を変えなくてはなりません。限られた時間内でそうしたことを見極め、相手が安心する介護をするのは容易ではありませんが、それだけにやりがいもあります」(藤原さん・以下同)
依頼があれば、休日にボランティアで地方へも出向くという。
「交通費を負担してくださるかたもいますが、基本は自腹。家計は赤字になることもありますが、相手に喜んでもらえるだけでなく、自分の勉強にもなりますし、帰りは小旅行をしたりして……私自身楽しんでいます」
藤原さんの家計簿(1人分)
とはいえ、家計はギリギリ。安価な『業務スーパー』を利用して食費を抑えるなどの節約はしている。
「“世界のヘルパーさんに出会う旅”が目標なので五百円玉貯金をしています。今年はエストニアとフィンランドに行きます」
仕事は収入だけでなく、それ以上の幸せをもたらしてくれる。