賢い「現金管理」のコツとは(写真:イメージマート)
スーパーやコンビニだけでなく、昔ながらの商店街や自動販売機、駐車場や駐輪場の料金支払いまで、1円も現金を持っていなくとも過ごすことができる「キャッシュレス」はいまや年代を問わず生活に浸透した。しかし、便利さと引き換えに失うものはないのだろうか。クレジットカードを利用すれば、不正利用や詐欺被害に遭うリスクは避けられない。さらに、キャッシュレス決済が便利であるがゆえに、ムダ遣いをしてしまうということもあるだろう。便利なキャッシュレス決済も使い方を間違えば、トラブルの原因や浪費の温床ともなりかねないのだ。そうであれば、脱・キャッシュレスを始めることが、節約への近道となるかもしれない。【キャッシュレス決済の落とし穴・前後編の後編】
クレジットカードの枚数を1、2枚に絞る
「脱・キャッシュレス」を始める第一歩は、クレジットカードを減らすこと。ただし、すべてのカードを解約する必要はない。年会費や使い勝手などを比べて、もっとも信頼できる1、2枚は残しておこう。公共料金など生活に必須な支払いに使っている場合も、解約する必要はない。その上で、使うカードの設定を見直す必要がある。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが語る。
「もし、リボ払いが設定されていたらすぐに解除を。またカードの利用上限はできるだけ低くしておき、使いすぎるリスクを下げて」(黒田さん・以下同)
ショッピングサイトは使用頻度が高いサイトに絞って、それ以外は登録情報を削除しておこう。
「磁気ストライプではなくICチップ搭載のカードにしたり、暗証番号の使い回しを避けたり、無料Wi-Fiを使ってネットショッピングをしないなど、クレジットカードを使う際は、不正利用対策が必要です。スキミング防止用ケースやシールを活用するのもいいでしょう」
1か月分の予算を5分割して財布に入れる
『節約を楽しむ』などの著書がある、作家の林望さんは、現金を引き出す際は、1回あたり「3万4000円」を財布に入れておくのがベストだと言う。
「何かあったときのために、3万円は持っておきたい。ですが、一万円札だけでは、一度使って崩すとあっという間になくなってしまう。“できるだけ万札を崩したくない”という心理を保ってムダ遣いを防ぐために、もっとも使いやすく、油断するとすぐなくなってしまう千円札×4枚を一緒に持っておくのです。これが、お金が減っていく実感をもっとも得やすく、ムダ遣いを防げる金額なのです」(林さん)
もともと1か月の予算が決まっているなら、まとめて下ろした後に「5週分割」してから財布に入れるのがベスト。消費生活アドバイザーの丸山晴美さんが語る。
「1か月分をまとめて持ち歩くと“まだこれだけある”と錯覚し、月の後半になって足りなくなりがち。一方、食費、日用品費……と細かく分けすぎると面倒になってどんぶり勘定になりやすいので、5週分に分割するのがちょうどいいのです。
また、予算より2万円ほど多めに下ろしておき、予備費として確保しておくとやりくりがラクになります」