アリババグループ創業者、ジャック・マー氏が覇権争いの鍵を握るか(2018年撮影。写真/AFP=時事)
トランプ・ゼレンスキー会談が物別れに終わり、米国はウクライナへの軍事支援を一時停止した。米国がロシアに接近する流れが強まることになりそうだが、中国は米ロの接近を巧みに利用して、経済面でも攻勢をかける。
経済学者で多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏が語る。
「ウクライナ問題を通じて米ロが関係を深めたことにより、米国と欧州・アジアの距離が離れつつある。中国はこの機に乗じてミャンマーの支援に乗り出すなど、米国寄りの国々を“剥がす”つもりでしょう」
そうしたなか、国家ぐるみで力を入れるのがAI(人工知能)開発だ。
2月17日、習主席が北京で開いた民間企業経営者向けのシンポジウムに、電子商取引大手アリババグループの創業者であるジャック・マー氏が出席して世界を驚かせた。
「これは『米中貿易戦争2.0』を睨んだ習氏のメッセージでしょう」と真壁氏は語る。
「2020年にマー氏が政府の規制を批判する演説をしたのち、習氏はアリババへの締め付けを強め、マー氏は表舞台から姿を消した。それがこのタイミングで“復権”したのは、AIを軸にした米中の新たな貿易戦争において、高い経営能力を誇るマー氏を積極的に支援するという習氏からのサインだと考えられます」
そしてアリババはAIインフラ整備のため今後3年間で3800億元(約7兆8400億円)を投資すると発表した。