3月24日に運用開始の「マイナ免許証」について知っておきたいこと
マイナンバーカードに運転免許証を一体化させる「マイナ免許証」の運用が3月24日に始まる。慣れ親しんだ免許証はどうなるのか、ドライバーにどのような影響があるのか。スタート前にそれらを知ったうえで判断することが重要だ。【前後編の前編】
「もうすぐマイナ免許証の制度が始まる」──そう聞いて多くの人が思い浮かべるのは、健康保険証がマイナンバーカードに一本化された際の「マイナ保険証」をめぐる大騒動ではないか。
今回のマイナ免許証は、運転免許証とマイナンバーカードを紐付ける新制度だが、マイナ保険証と同じように他人の情報に紐付けられるミスやシステム障害などで利用者が不便を被るリスクがないのかが気になる。『マイナ保険証の罠』などの著書がある経済ジャーナリスト・荻原博子氏は「現時点ではマイナ保険証のように国民にとって重大な不利益となる懸念は小さい」と説明する。
「最も大きな違いは、“従来の免許証が廃止されない”という点です。心配ならばマイナ免許証を作らなければいいし、作っても何かあった時は従来の免許証が代わりに使える選択肢も残されます」
そうした前提があるからこそ、免許を保有する人は新制度のメリット・デメリットを知ったうえで自らの選択をしていく必要がある。荻原氏が指摘するように、マイナ免許証制度では以下の3つの保有形態が選択できる。
【1】マイナ免許証のみ/マイナカードと運転免許証を一体化したうえで、現行の免許証は返納する
【2】マイナ免許証と現行の運転免許証の2枚持ち/マイナカードに免許証を一体化したうえで、現行の免許証も保有する
【3】現行の運転免許証のみ/マイナカードと免許証を一体化しない(免許の更新は従来通り可能)
ITジャーナリストの三上洋氏が解説する。
「ユーザーの利便性に配慮があり、マイナ保険証より使い勝手がいいと思います。マイナ免許証にするメリットとして、マイナカードと運転免許証の2枚を持ち歩いていた人は1枚で済むようになることが挙げられます」
他にも、「マイナ免許証1枚持ち」にすると、住所変更が自治体窓口での手続き1回で済むこと、更新時の講習(優良・一般)がオンラインで受けられること(受講後に免許センターでの視力検査等が必要)、更新手数料が現行の運転免許証より安いこと、などがメリットとして挙げられる。
ただ、個人の行動データなどを分析する「くふう生活者総合研究所」が約1万人を対象にした調査によると、「マイナ免許証を所有したい」と答えた人は約3割にとどまる。一方で、42.2%が「どちらともいえない・様子を見たい」と回答し、最多だった。実際、現行の運転免許証を返納する「マイナ免許証の1枚持ち」には“落とし穴”もあるのだ。
後編記事《あなたはどうする?「マイナ免許証」のメリット・デメリット一覧表 ペーパードライバーは一本化で利便性が高まる “免許とマイナで有効期限が違う”ことにも注意》では、マイナ免許証のメリットとデメリットについて一覧表でわかりやすく説明している。
※週刊ポスト2025年3月28日・4月4日号