厚生労働省の調査によると、65才未満で発症する若年性認知症の患者数は約4万人で、認知症患者数全体に占める割合は1%以下。認知症は圧倒的に65才以上の発症が多いというが、若年性認知症の平均発症年齢は51才。いわゆる働き盛りで、もちろん一家の大黒柱もいる。社会や家庭のなかで主導的立場の人が発症することは、高齢者の認知症とは違った意味で大きな問題になる。認知症専門医で湘南いなほクリニック院長の内門大丈さんが語る。
「男女比では男性が多いので、その場合は妻が主な介護者になり、子育てや親の介護をしながらの“ダブルケア”になることもあります。認知機能が落ちても、体は若くて体力がありますから、介護者の体力的な負担も大きくなりがちです。
また18才未満の子供が親を介護する“ヤングケアラー”の問題、高齢の親が若年性認知症の子供の介護を担うなど、さまざまな家庭内の問題が混在します」(内門さん・以下同)
さらに経済的問題は切実だ。家計を支える働き手が退職せざるを得ないことも多い。社会制度は充分に整っているとはいえないが、診断直後からサポートし、必要な制度やサービス、就労支援などにもつなげてくれる病院のソーシャルワーカーや若年性認知症支援コーディネーター、地域包括支援センターなど、相談先はある。
「若年性認知症は、病気と生活・経済面との両面からのケアが必須です。また、悩みや情報を交換でき、安心できる居場所にもなる若年性認知症の家族会、認知症カフェなどは、まだ数が少ないのですが、これからどんどん増えてほしいと思います」