長引く不況の中でも、全体の売り上げが伸びている回転ずし業界。回転ずしのシェアベスト3は、1位が「あきんどスシロー(年商1748億円・店舗数548)」、2位が「くら寿司(年商1325億円・店舗数434)」、3位は「はま寿司(年商1242億円・店舗数505)」だが、その3大チェーンで業界シェアの7割を占めている。
一方で、価格競争から手を引き、独自の路線を行く回転ずしチェーンもある。外食業界紙記者が語る。
「100円均一でなく、複数の料金体系が混在する回転ずしを業界では『グルメ系』と呼んでいます。より味を求めるお客さんを中心に、人気が出始めています」
「安くてうまい」のために、各社はさまざまな“工夫”を施している。その筆頭が原価率だ。回転ずし店の仕入れ担当者がそっと打ち明ける。
「かつて、回転ずしの平均原価率は3割以下といわれていました。しかし、競争が激化し、商品の透明化が進んだ現在は4~5割程度まで上昇しています。人気ネタの『サーモン』は約4割で、『マグロ(赤身)』は5割程。それでも経営的にはギリギリですが、最近ではさらに材料の原価が7割を超えるネタも登場しています。人件費などが乗っかれば、完全に赤字のネタです」
直近でいうと、大手チェーンで「大トロ一貫100円」キャンペーンが行われていた。明らかに“出血大サービス”のネタだろう。