「時は金なり」という諺があるが、昔に比べて何ごとにもスピードが求められ、忙しなくなった現代は、人が“待てる時間”にも変化が現れているかもしれない。
シチズン『ビジネスパーソンの「待ち時間」意識調査』(2013年)では、日常に溢れる様々な“待ち時間”の許容時間が明らかになっている。別掲のリストのように、PCのインターネット表示は2秒、スマホのインターネット表示は10秒、電話の保留は30秒、歩行者信号は1分……と、その許容時間を過ぎるとイライラしてしまうのだという。
しかしそもそも、なぜ私たちは“待つ”という時間にこうもナーバスになってしまうのか。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部部長の栗山健一さんが解説する。
「人間の脳は、何もしない空白の時間に危機を感じる性質を潜在的に持っている可能性があります。待つ時間は無防備であるため、“まだか、まだか”と、時間に集中している状態。加えて、社会のスピードはとても速くなっている。私たち人間はそれに適応して、24時間を濃密に使いたいという欲求があると思います。だから無防備で無駄な時間に対してイライラしやすいという事象が起きているのかもしれません」
必要以上にイライラしないためには、もう何分だから、何時になってしまった…など、時間に神経質になりすぎないことが重要だという。