住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「入谷」(東京都台東区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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「その手は桑名の焼き蛤」「嘘を築地の御門跡」「びっくり下谷の広徳寺」など、地名を使った言葉遊びはいくつもありますが、中でもメジャーなのが「恐れ入谷の鬼子母神」。これは、“恐れ入りました”と、台東区下谷にある“入谷の鬼子母神”をくっつけたものですが、その入谷がつい先日、にわかに脚光を浴びました。住宅ローン専門会社のアルヒが発表した「本当に住みやすい街大賞」で、入谷が5位にランクインしたのです。乗降客数は東京メトロ130駅中107位(2018年度)というマイナーな駅ですが、確かに住みやすさは良好です。
鉄道は東京メトロ・日比谷線のみですが、隣駅は上野で、銀座まで18分、霞ケ関まで22分。JR山手線と京浜東北線が通るJR鶯谷駅も歩いて10分弱なので、鉄道の便は申し分ありません。なお、JR相模線にも「入谷駅」(読みも「いりや」。神奈川県座間市)がありますので、路線検索する際には要注意。また、足立区にも「入谷」という住所があり、こちらもお間違えないように。
道路状況も悪くありません。首都高速1号上野線の終点は入谷で、駅前にその出入り口があり、これはぜひとも上手に使いこなしたいところ。駅の真上を通る国道4号線は非常に幅が広く、言問通り、水戸街道(国道6号線)などの幹線道路もあり、車は有効です。ただし交通量は猛烈ですが……。