AI(人工知能)や機械学習の活用が普及するなか、その担い手として注目が集まるのが、ビッグデータを分析し、ビジネス上の課題解決に役立てる「データサイエンティスト」と呼ばれる職種だ。
滋賀大学、横浜市立大学、武蔵野大学は「データサイエンス学部を設置」しており、受験人気も上昇している。その他、総務省も「データサイエンス・オンライン講座」を開講するなど、人気スキルとして注目を集めている。
では、その業務内容や日本における実態はどうなっているのか。都内のIT関連企業でデータサイエンティストとして勤務する30代の男性・Aさんに、話を聞いた。
「データ人材が市場で求められる中、最も価値が高いとされるのが、機械工学や統計学の博士過程を修了しているデータサイエンティストです。トップクラスの人材は数千万円単位の年俸で、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やNetflixなどといった外資系IT企業の本社に迎えられています」(Aさん、以下「」内同)
データサイエンス系の職種は、AIや機械学習の仕組みを作るサイエンティスト、実務を行うエンジニア等、複数の職種に分かれている。Aさんはデータを元に事業課題を解決する「アナリスト」と呼ばれる職種で、自社サービスを利用するユーザーの分析を行い、サービスの開発やキャンペーン設計に役立てている。
数字や統計を扱うため、理系しか務まらないと思われがちだが、Aさんは私立大学の文系学部出身。
「最低限のプログラミング言語の修得は必要ですが、高校の数学レベルで学ぶ基本的な数理能力や、問題を仮説を立てて検証する論理的思考能力があれば、十分に出来る業務もあります。データに基づいてロジカルに判断するという意味では、仕事の実態はコンサルティングに近いのかもしれません」