新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、一部の企業で実施されているの「テレワーク(在宅勤務)」。これまでも国は「働き方改革」を旗印にテレワークを推進しようとしてきたが、今回の新型コロナ対策として“ぶっつけ本番”のかたちで導入した企業も少なくない。
そのため、慣れないテレワークで混乱する人たちの声があちこちから聞こえてきた。
「電話会議をしたとき、ふだんは何でも嫌がらずに仕事を引き受けてくれる爽やかな若手社員が『その仕事の割り振りはおかしい。ほかの人に頼んでください』と感情的に食ってかかってきて仰天した。突然豹変したので『本性が出たのか』と同僚の間で話題になりました」(金融・40代男性)
電話やPCでのやり取りは、相手の気持ちを読み取りにくい。それにより印象が一変してしまうこともあるのかもしれない。
一方、普段から客先を飛び回っていた営業マンたちは、報告書やプレゼン資料の作成など、これまで帰社して行なっていた作業を出先でやるケースが増えているという。
「得意先回りの途中で喫茶店やファミレスに寄って報告書を仕上げることが多いが、自腹なのでキツい。また、PCには顧客の情報が含まれるため、上司がものすごく神経質になっている。『盗み見されたりPCを置き忘れたりすると大変なことになるぞ』と、しつこいほど言われています」(機械メーカー・40代男性)
人事ジャーナリストの溝上憲文氏は、「セキュリティ面も含め、コロナ騒動が一段落した段階でテレワークを見直す企業が多いのではないか」と見ている。
「テレワークは社内の信頼関係で成り立ちますが、日本の管理職は部下を信頼して仕事を任せることが苦手です。働くほうも、在宅だとどうしてもダレてくる。出社しない日が続くと孤独感を覚えたり、自分が必要とされていないように感じることもあるといいます。米国では約半数の人が在宅勤務ですが、日本で定着するまでにはまだまだ時間が必要でしょう」(溝上氏)