飲食店の休業、リモートワークの導入、企業倒産……。新型コロナウイルスの流行は、企業や会社員の生活にも大きな影響を及ぼしている。全国に「緊急事態宣言」が発令されるほどの未曾有の危機が到来し、休業や自宅待機を余儀なくされた会社員に、その変化と実情を聞いた。
30代の女性・Aさんが勤める小売チェーンでは、緊急事態宣言を受け、全店舗の営業を休止することが決定。事務職の社員も、どうしても出社が必要な業務を除き、5月初旬まで在宅勤務、または自宅待機となった。
「社員向けのネットワークに同時接続出来る人数に制限があるなど、リモートワークの環境が全く整っていなくて、全員ろくに仕事ができていません。会社からは、外出を自粛して、自己研鑽をして欲しいという案内のみ。営業休止中の1か月分の給料は保証すると約束されましたが、その後はどうなるか分からない。不安が募って転職を考える人も出てきています」(Aさん)
仕事がなくなることへの不安を感じる一方、社内では予想外の反応も見られたという。
「もともと感染リスクを軽減するためにリモートワークを推奨する企業が多い中、毎日電車で通勤することに不安がありました。会社として出社時間をずらすなどの対応もなく、危機管理対策も不十分。そのような心配もあったことから、同僚には『もう職場に行かなくて済む』と安堵する声も多かったです」
会社でリモートワークが推奨される中、事実上の「開店休業状態」となったのは、飲料メーカーで卸業者を担当する営業マンの30代男性・Bさん。本来であれば繁忙期である時期にもかかわらず、売上は例年の2割ほどに落ち込んでいると明かす。