新型コロナウイルスの発生源である中国では、今年中に3000万人もの人が失業するといわれている。騒動の渦中にある日本でも、経済の維持は、命を守ることと同等だとする考えが広まっている。
4月11日、安倍晋三首相(65才)は「緊急事態を1か月で終えるためには、もう一段の国民の協力が不可欠」として、出勤者を最低7割は減らすことを要請。働き方もプライベートも自粛を求められ、先行きの見えない経済不安への悲痛な叫びが聞こえてくる。
東京都豊島区で家族と暮らす旅行代理店勤務の北村真梨さん(仮名・40才)は、納得できないと不満を漏らす。
「4才の娘を通わせていた保育園から、“原則休園になる”と言われ、医療関係に勤務する家庭以外は通園を遠慮するよう通告されました。子供の面倒を見るため、出社が困難になったことを報告したのですが、テレワークでのフルタイム労働を命じられた。『家庭の都合は認められない。無理なら無給休暇になる』と言われ、戸惑っています」
真梨さんと同じように、無給での休暇を会社から求められるケースは珍しくない。手立てがなく、仕方なく受け入れた人もいるだろう。
政府は過去最大規模の108兆円の緊急経済対策を行うと宣言。支援策のなかには、中学生までの子供がいる世帯に給付されている「児童手当」に、一律1万円が上乗せされる申請不要の制度もあるが、「小学校休業等対応助成金」のように、雇用主との交渉が必要になるものも。社会保険労務士の中山大輔さんが解説する。
「今回新設された『小学校休業等対応助成金』は、子供の世話をするため有給休暇を取得した従業員に対し、休業手当を支払った事業主に給付されます。従業員ではなく、雇用主が制度の適用を判断し、申請する必要があるのです。ただし、新しい制度を知らない雇用主もいるので、交渉してみる価値はあるでしょう」