世界に誇る日本の公的医療制度が、窮地に立たされている。
「日本の高齢化はどんどん進み、2025年には75歳以上が全人口の18%、約2割を占めるようになります。それはすなわち、国民一人ひとりの医療費負担が急激に増えることにつながります」
医療経済ジャーナリストの室井一辰氏は、そう警鐘を鳴らす。
1人あたりの年間医療費はこの20年で1.5倍に増えた。国民所得に占める医療費はこの10年、約10%で高止まりしている。
しかも、厚生労働省の「生涯医療費」推計によると、人生の医療費のおよそ半分が、70歳以上に費やされている。つまり、高齢化が進めば、加速度的に医療費はふくれあがり、私たちが加入する健康保険も窮地に陥る。