新型コロナ危機で“介護難民”の増加が懸念されている。重症化リスクのある高齢者を抱える特別養護老人ホームなど介護施設は厳戒態勢で新規の入所を制限するケースが増え、感染者が発生した施設が閉鎖された。ショートステイやデイサービスセンターは感染者がいなくても自治体の要請で休業に追い込まれるところもある。
こうした状況を踏まえれば、今後は「在宅介護」への備えが欠かせない。要介護者やその家族が、在宅介護を進める上で活用できる制度は少なくない。
主なものを表にまとめたが、たとえば家族の介護のために仕事を休んだ人は、雇用保険から最大3か月まで「介護休業給付金」が受け取れる。
当然ながら、介護保険をフル活用することも重要だ。介護保険のサービスや助成制度以外に、自治体が独自で設定している給付も、見逃さずに活用していきたい。
たとえば、紙おむつや尿取りシートといった消耗品は、「毎月1万~2万円の出費になる」(ベテランケアマネ)のが一般的で、長期の在宅介護となればそれなりの額になるが、介護保険ではカバーされない。
ただ、自治体によっては消耗品購入のための助成金制度が設けられており、東京・千代田区を例に取ると、紙おむつが自己負担1割で購入できる制度が用意されている(毎月8400円まで)。介護評論家の佐藤恒伯氏が解説する。
「自宅のバリアフリー化についても、浴槽の取り換えなど介護保険では対象外とされる工事への助成金を自治体が設けているケースもある。制度の名称や条件は自治体によって異なるため、地域包括支援センターや、自治体の窓口で確認しましょう」
理想の在宅介護を実現するためには、自分が住む地域にどのようなサービスが用意されているかをよく知った上で、家族で相談していかなくてはならない。施設暮らしの感染症リスクが明らかになった今こそが、その始め時かもしれない。
※週刊ポスト2020年5月1日号