「車離れ」と言われる中、マイカーを購入しない人や、そもそも免許を取らないという人も増えている。都心には「免許を持っていても運転しない」という人も多い。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、車移動やマイカー通勤が見直され始めているにもかかわらず、なぜ運転を避けるのか。当事者たちの意見を聞いた。
自動車の“変化”についていけない
40代の女性会社員・Aさんは、実家のある神奈川県で18歳のときに普通自動車免許を取得。「当時は、18歳になったらとりあえず取っとけ、みたいな雰囲気だった」と振り返りつつ、東京で就職した後はめっきり運転する機会が減ったと話す。
「ちょっとバカにされつつも、AT(オートマ車)限定で取得しました。ただ東京に就職してからは、日常生活で乗ることはまったくありません。車がないと困るシーンもないので、車を欲しいとも思わないです。むしろ、メンテナンスとか駐車場とか、面倒なことが増えそうなので、いらない。運転するのはせいぜい旅行先でレンタカーを借りる時ですが、それも数年に一度あるかないかという具合。免許があって良かったと思うのはその時くらいです」(Aさん)
そんなAさんが先日、実家に帰ると車が電気自動車に買い換えられていた。高齢の親によれば、運転する時に楽そうだし、燃費もいいというのがその理由だったが、Aさんは戸惑うばかり。車離れに拍車をかけたと話す。
「駐車をするときの『パーキング』がボタン式になっているなど、運転席まわりが私の知っている車と違いすぎて、びっくりしました。久しぶりに車に乗ると、運転感覚はもちろんですが、そういった部分でも戸惑うものなんですね。『やっぱり定期的に運転しないとダメだな』とそのときは思ったのですが、結局、その後も乗る機会はありませんでした。むしろもう運転したくないです。事故を起こしそうで怖いです」(Aさん)