相続トラブルを避けるために大切なのが「タイミング」である。時期を誤らずに計画的に手続きをする必要がある。
生前で大切な「遺言書」や「財産目録」の作成、死後14日以内には「未支給年金請求書」の提出、その他、「法定相続情報一覧図」の作成や「死亡保険金請求書」の提出など速やかに行いたい。
また、ようやく生活が落ち着きを取り戻す死後3か月から10か月までには、相続税に関する重要な手続きが集中する。
「『相続放棄』や『限定承認』をする場合は、死後3か月以内に決める必要があります」と、「夢相続」代表で相続実務士の曽根惠子氏が指摘する。
「『相続放棄』は文字通り、相続人が財産を相続する権利をすべて放棄することです。『限定承認』とは、相続した財産の範囲で債務を負うという意味で、仮に1000万円分の財産を相続した場合、負債が1500万円だとしても、弁済が必要なのは1000万円までになります。
死後3か月以内に『相続放棄』か『限定承認』の申し立てをしなければ、自動的に普通の相続(単純相続)をするとみなされます」(前出・曽根氏)
相続放棄や限定承認は、財産の内容に応じて相続人が自ら選択していくこととなる。
「相続では、現金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続しなければなりません。負債額が多ければ相続放棄の手続きをして、財産が明確でなければ限定承認の手続きをすることもできます」(前出・曽根氏)