企業がお盆休み期間中の8月16日、英紙『フィナンシャル・タイムズ』(電子版)が「日産・ホンダ 政府が統合模索」という衝撃的なニュースを報じた。経済ジャーナリストの福田俊之氏が解説する。
「記事によれば、保護主義的な傾向がある安倍晋三首相の側近が発案し、昨年末に両社に持ちかけられたとされています。
日産自動車は2020年3月期の連結最終損益で6700億円の赤字を計上しており、2018年に会長だったカルロス・ゴーン氏が逮捕されて以降、経営が悪化の一途を辿っています。社風も違う奇妙な組み合わせではありますが、仮にそうなれば、日本国内の雇用を守るといったプラス面が期待されたと思います」
2019年の新車販売台数約517万台のホンダと約493万台の日産が合併すれば1010万台となり、約1074万台で世界2位のトヨタ、1位のフォルクスワーゲン(約1097万台)に迫る規模となる。
「日産はゴーン逮捕以降、提携する仏ルノーとの関係がこじれていた。政府はこの件でコメントを出していないが、日産の技術の国外流出を防ぐために、官邸筋が提携の“組み換え”を画策してもおかしくない。ただ、やるとなればルノーとの話し合いも一筋縄ではいかないことからも、具体化はしなかったのでしょう」(同前)
大型合併には、様々な思惑が交錯するため、実現へのハードルは高いようだ。
※週刊ポスト2020年9月4日号