9月19~22日の4連休、多くの人々が各地の観光地を訪れ、大混雑となった。テレビ番組はしきりと「混んでます!」報道を繰り返したが、この報道のあり方にネットニュース編集者の中川淳一郎氏は違和感を覚えるという。その真意について中川氏が解説する。
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この4連休、高速道路で47kmの渋滞が発生したり、スーパー銭湯は2時間待ちだったり、キャンプ場には1000張のテントが張られてトイレは1時間待ちの行列、といった「混んでます!」報道をよく見かけました。
普段の私は「こんな混んでいる時に遊びに行くなんて、何を考えているんだろう?」と鼻で笑うところですが、今回ばかりはまったくそう思いませんでした。テレビに取材される観光客が気の毒になってしまったのです。
番組制作サイドの意識としては「コロナ禍なのになぜ遊びに来ているのか?」ということを聞きたいわけです。そして「気の弛んだ国民がこんなに羽目を外して遊びまわってます! 緊張感が足りない!」といった感覚を視聴者に抱かせたいという意図もあるのでは。
何しろ、取材される人は、決まって同じようなことを口にします。それは、慎重に行動していること、他人に迷惑をかけなにようにしていること、そして若干の言い訳めいたことです。恐らく質問は「なぜ、今回はここに来たのですか?」と「感染対策は大丈夫ですか?」の2つでしょう。以下のようなコメントが定番です。
「マスクは予備も含めてたくさん持ってきていますし、除菌スプレーも用意しています」
「ゴールデンウィークも夏休みも子供たちを連れて来られなかったので……」
「アウトドアだったら『密』にならないと思いまして……」
以前見た報道ではこんなのもありました。インドネシア人の妻の母親を登山に連れてきた男性の発言です。
「義母を山に連れてきたかったのですが春は連れて来られず、緊急事態宣言も解除されたので……」