今年6月に年金制度改正法が公布され、パート労働者からの保険料徴収が強化されるなど、年金を取り巻く環境は年々厳しくなっている。
「今後、もらえる年金が減っていくのは確実でしょう。だからこそ、年金世代の身内が亡くなった際には、遺族がもらえるものをしっかりともらっておくことが重要です」
そう指摘するのは、社会保険労務士の星川秀幸氏。とりわけ確認したいのが「遺族年金」だ。
一般的な定年後世代の夫婦を想定すると、元会社員の夫が基礎年金(1階部分)と厚生年金の報酬比例部分(2階部分)を受給し、専業主婦の妻は1階部分のみ。家計を支える夫が亡くなると、年金収入は妻の1階部分(満額で年約78万円)だけとなってしまう。
「こうしたケースで残された妻が受け取れるのが遺族厚生年金です」(前出・星川氏)
この年金を受け取るには、保険料の納付済み期間が25年以上必要になる。ファイナンシャルプランナーの伊達寿和氏が解説する。
「2016年の法改正で、保険料を払った期間が国民年金と厚生年金を合わせて通年10年以上あれば、本人は厚生年金をもらえるようになりました。しかし、遺族厚生年金は改正前の25年以上の要件のままで、亡くなった夫が10年ほど保険料を払っているだけでは、遺族厚生年金を受け取れません。夫の保険料支払い期間は必ず確認しておきたい」