来年4月、「70歳就業法」と呼ばれる改正高年齢者雇用安定法が施行される。これによって、社員が70歳まで働き続けることができる仕組みをつくる努力義務が事業主に課せられる。企業側には、現在65歳までの継続雇用制度を70歳まで引き上げるか、「70歳定年制」を導入するか、あるいは「定年廃止」とするか、などの対応が求められるのだ。
つまり「定年制の崩壊」が近づいている。そうなれば、「いつまで働くか」を会社や制度任せにせず、サラリーマン個々が自ら判断する時代が到来する。
雇用延長か、転職でやりがいがある職場を見つけるか──。それを判断するために欠かせないのが「スキルの棚卸し」だ。
自分にどんな得意とする作業や他人より優れたスキルがあるのか、全部書き出してみるといいだろう。技能職なら資格やその業務の経験年数を書き出してみる。
そのスキルが現在の会社で高く評価されるなら残る選択もあるが、そうでなければ必要とされる会社を探して転職する道を考えるのも手だ。
「転職に有利になるようなスキルや資格はない」。そう尻込みしている人も、今までやってきた仕事の中身をよく考えればマッチする職場はあるはずだ。中高年の求人サイト「マイナビミドルシニア」編集長の山田周右氏が語る。
「たとえば営業職でも、法人営業か、個人かでスキルと能力が違う。ある人は官公庁向けの入札を長く経験し、独特の入札仕様書の読み方を熟知していた。彼は面接で『官公庁入札に精通している』とアピールしベンチャー企業に転職した。その会社にはノウハウがなく、官公庁相手に仕事をするために彼をぜひ欲しいとなりました」