12月28日から2021年1月11日までの間、全国で利用を一時停止することが決まった「Go Toトラベル」。新型コロナウイルス感染者の状況を鑑みるに、やむを得ない措置だとみる向きも多いが、年末年始のかきいれ時に予約キャンセルが相次ぐ旅行業界からは悲鳴も聞こえてくる。
一方、楽しみにしていた旅行をあきらめざるを得ない利用者も落胆の色を隠せない。東京都在住のYさん(40代/男性)は、泣くに泣けない「三重苦」の状況に追い込まれているという。
Go Toトラベルは、旅行代金の一部を国が補助する制度。旅行代金の2分の1を国が支援し、70%は旅行代金の割引に、30%は旅先で使えるクーポンに充てられる。Yさんは、これ幸いと旅行の予定を組んだが、それは大失敗だった。
「私と妻は共働きで、旅行に行くチャンスは年末年始だけ。Go Toトラベルならオトクなので、10月に沖縄旅行を申し込みました。春の外出自粛時に娘の面倒を見てもらった妹夫婦も誘い、旅行に行くのは8人。旅慣れた私が綿密にプランを練り、色々と計算した結果、パック旅行にするよりも、飛行機はLCCを使い、ホテルだけGo Toトラベルを利用する方が安いことが分かったので、飛行機とホテルを別々に取りました」
飛行機+宿のプランにすれば、飛行機代にもGo Toトラベルは適用されるが、LCCは運賃が格安。旅程の組み方次第では、そちらの方がもっとリーズナブルになることもあるのだ。しかし、その目算は脆くも崩れ去る。
「Go Toトラベルの一時停止が決まると、すぐに『旅行はどうするの?』と、妹夫婦から連絡がありました。状況を冷静に判断すれば、取り止めにするのが当たり前でしょうが、LCCはキャンセル不可の席を予約していたので、旅行をやめれば飛行機代はパー。約13万円をドブに捨てることになります。しかし色々と話し合った末に旅行は中止になりました」
料金が格安なのは、こういったリスクもあるからということか。Yさんは一応、飛行機会社に問い合わせたが、けんもほろろに「キャンセルは出来ません」と言われただけだった。しかも、沖縄旅行中止の被害はそれだけに収まらない。