新型コロナウイルスの感染拡大によって、大学講義のあり方が大きく変化している。“密”を避けるために大人数の対面講義は減少し、全国の大学が軒並みオンライン講義を導入している。
今年からセンター試験に変わって「大学入試共通テスト」が導入されるが、大学入試を控える高校3年生やその保護者にとって、入学後の大学の講義スタイルがどうなっているかも大きな関心事だろう。無事に試験が終わったら、春からの大学生活に向けて事前に準備しておくことはあるのだろうか。大学教員への取材をもとに、現在の大学の講義スタイルについて解説しよう。
オンライン講義が導入されたからといって、すべての講義がオンラインで行われているわけではない。2020年4月以降、全国の大学で実施されている講義の形式は、主に【1】対面授業、【2】遠隔授業、【3】ハイブリッド型授業の3パターンに分けられる。それぞれの特徴は以下のとおりだ。
【1】対面授業
大学キャンパスに入校し、教室で実施される。100~400人などの大人数講義は対象外になる場合が多く、基本的には数十人程度のゼミ(演習科目)や外国語科目などで再開するケースが多い。
【2】遠隔授業(オンライン授業)
学生各自がパソコンやスマートフォン、タブレット端末などを利用して(基本的には)自宅で受講する。Wi-fi環境が整っていない学生からは「スマホの“ギガ”を消費しながら受講している」(男子学生 19歳・関西圏の私立大学)という声も聞こえてきた。
この遠隔授業も、2種類に大別される。1つは、Zoomなどを利用して、あらかじめ決まった講義時間(例:「月曜日の3限」等)にリアルタイムで実施される「双方向型(リアルタイム型)」。もう1つは講義のPDF資料や音声ファイル、動画ファイルなどを共有し、学生が好きな時間帯に受講できる「オンデマンド型」だ。
【3】ハイブリッド型授業
「対面」と「遠隔」を組み合わせたのが、ハイブリッド型の授業だ。演習科目など少人数で対面講義を再開させた場合でも、遠隔を希望する学生のニーズ(例:「新型コロナ感染に不安がある」「高齢者と同居している」「持病がある」といった個別の学生のニーズ)に応じて実施される。
基本的には大学の教室で講義を行い、その状況をZoomなどのサービスを使ってリアルタイム中継を行う。教室にいる学生、自宅にいる学生ともに、同じ時間帯に講義を受けることができるという仕組みだ。
オンライン化に伴う大学講義のクオリティ低下を懸念する声も聞こえてくるが、この「ハイブリッド型授業」からもわかるとおり、オンラインを希望する学生のニーズが存在すること、一定の教育効果を実感する教員・学生がいることも知っておきたい。