社会の変化とともに、墓事情に明らかな変化が見え始めている。墓に関する総合情報サイト『いいお墓』を運営する鎌倉新書は、2020年11月26日に「2019年に『いいお墓』経由で購入した墓の種類」に関する調査結果を発表した。全国平均の割合が一般墓27.4%、納骨堂24.9%なのに対し『いいお墓』経由で購入した墓の種類では樹木葬が41.5%と群を抜いてトップになっている。2010年の調査では一般墓の購入が91%だったが、その割合は年々低下し今回初めて樹木葬が一般墓を上回った。
樹木葬とは墓石の代わりに樹木を墓標とし、故人が眠る場所には名前が刻銘された石のプレートなどを置くだけのもの。あくまでも『いいお墓』で購入された墓に関するデータではあるが、どうしてこの“簡素”な墓が選ばれているのか。
購入費が半額以下
樹木葬のメリットを、葬送・終活支援ソーシャルワーカーの吉川美津子さんが解説する。
「墓石が不要のため、費用が抑えられることがメリットの1つといえます。新しくお墓を建てるには敷地の購入も必要ですが、都内にある一般墓の敷地は1区画が広くて値段が高い。一方の樹木葬は、1区画が一般墓よりも小さいことが多く、リーズナブルな費用で購入することができます」
鎌倉新書の調査によれば、全国平均の一般墓の購入価格は約176万円。これに対し、樹木葬は約69万円と半額以下だ。